飯塚事件の真犯人は特定されたのか?2026年最新のDNA鑑定と再審請求を徹底解説
1992年、福岡県飯塚市で登校中の小学1年生の女児2人が行方不明となり、翌日に遺体で発見された「飯塚事件」。殺人などの罪で死刑判決が確定した久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚は、2008年に刑を執行された後も、遺族が無実を訴え、再審を求める手続きを続けている。
2026年は、2月に福岡高裁が第2次再審請求の即時抗告を棄却した一方、9月には警察のDNA型鑑定を再検証した新たな鑑定結果を根拠に、第3次再審請求を行う方針が報じられた。飯塚事件の真犯人は特定されているのか。DNA鑑定の問題点や目撃証言の信頼性、確定判決の根拠、再審請求の現在地を整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 真犯人の特定状況:別の人物が犯人として司法上特定された事実はなく、久間元死刑囚の有罪判決は現在も取り消されていない。
- 2026年の新展開:弁護側は本田克也・筑波大学名誉教授によるDNA型鑑定の再検証を新証拠として、第3次再審請求を行う方針を示した。
- 最大の争点:MCT118型DNA鑑定の信用性、目撃証言の変遷、状況証拠の評価をどう考えるかが、事件の真相をめぐる重要な論点となっている。
【真相を先に解説】飯塚事件の真犯人は特定されているのか?
結論からいえば、飯塚事件の真犯人が久間元死刑囚以外の人物だと司法上確定した事実はなく、別の犯人も特定されていない。一方、久間元死刑囚については有罪判決が確定し、死刑も執行されている。2026年10月24日時点でも、この法的な状況は変わっていない。
久間元死刑囚は逮捕後、一貫して無実を主張した。遺族もその主張を引き継ぎ、DNA型鑑定や目撃証言の信用性を争ってきた。再審請求が複数回にわたって行われている背景には、確定判決を支えた証拠を改めて検証すべきだという弁護側の問題提起がある。
ただし、再審を求める側が新たな疑問や鑑定結果を提示したことと、裁判所がそれを認めて有罪判決を覆したことは別の問題だ。2026年9月に報じられたDNA型の不一致という主張も、現段階では弁護側が提示した新証拠に関するものであり、裁判所によって確定した事実ではない。
したがって、「真犯人は別にいることが判明した」「久間元死刑囚の冤罪が確定した」といった断定は、現在の司法手続きの状況とは一致しない。事件の真相を考えるには、確定判決が認定した事実と、再審請求で争われている事実を区別する必要がある。
【事件の概要と有罪判決】久間三千年元死刑囚を結びつけた証拠とは
事件が起きたのは1992年2月20日。福岡県飯塚市で、登校途中だった小学1年生の女児2人が行方不明になった。翌21日、当時の甘木市、現在の朝倉市にあたる地域の山中で、2人の遺体が発見された。
福岡県警は捜査を進め、事件発生から約2年7か月後の1994年9月、久間元死刑囚を死体遺棄容疑で逮捕。その後、略取誘拐や殺人などの罪で起訴した。
福岡地裁は1999年9月29日に死刑判決を言い渡した。2001年に福岡高裁が控訴を棄却し、2006年には最高裁が上告を棄却して判決が確定。2008年10月28日、久間元死刑囚の死刑が執行された。
福岡地裁の確定判決に関する記録によると、久間元死刑囚と犯行を直接結びつける証拠は存在せず、複数の状況証拠を総合して有罪が認定された。主な根拠は、車両に関する目撃証言、女児の衣服から検出された繊維片、久間元死刑囚の車内から見つかった血痕や尿痕、そして警察庁科学警察研究所(科警研)によるDNA型鑑定などだ。
個々の証拠だけで犯人と断定するのではなく、それぞれの証拠が互いに整合するかを総合評価する。この証拠構造が、後の再審請求でも大きな意味を持っている。
事件と裁判の主な経緯は、次のとおりだ。
| 時期 | 出来事 | 意味・現在への影響 |
|---|---|---|
| 1992年2月20~21日 | 女児2人が行方不明となり、翌日に遺体が発見される | 飯塚事件が発生 |
| 1994年9~11月 | 久間元死刑囚が逮捕・起訴される | 車両やDNA型鑑定などの証拠が争点に |
| 1999~2006年 | 死刑判決、控訴棄却、上告棄却 | 2006年に死刑判決が確定 |
| 2008年10月28日 | 死刑執行 | その後も遺族による再審請求が続く |
| 2009~2021年 | 第1次再審請求と不服申立て | 2021年に最高裁が特別抗告を棄却 |
| 2021年7月~2024年6月 | 第2次再審請求、福岡地裁が棄却 | 新たな目撃証言などの信用性が争われる |
| 2026年2月 | 福岡高裁が即時抗告を棄却 | 弁護側が最高裁に特別抗告 |
| 2026年9月 | DNA型鑑定の再検証を受け、第3次再審請求の方針が報じられる | 新たな鑑定結果が今後の争点に |
このように、飯塚事件の有罪判決は、DNA型鑑定だけで成立したわけではない。だからこそ、DNA型鑑定に疑問が生じた場合、ほかの証拠だけで有罪認定を維持できるのかという問題が浮かび上がる。
【DNA鑑定の問題点】MCT118型鑑定と本田克也教授の再検証
飯塚事件の冤罪疑惑をめぐる中心的な論点の一つが、警察庁科学警察研究所によるMCT118型DNA鑑定だ。この鑑定では、被害女児に関係する血液資料から検出された犯人由来とされたDNA型が、久間元死刑囚のDNA型と一致すると判断された。
MCT118型は、DNAに含まれる特定の塩基配列の繰り返し回数を調べることで、個人識別に利用する方法だ。1990年代には刑事事件の捜査に用いられたが、現在広く利用される複数のSTR領域を調べるDNA型鑑定とは、検査方法も識別精度も異なる。
飯塚事件で問題になったのは、当時の鑑定で用いられた123塩基ラダーマーカーによる型判定と、検査資料の解釈だった。確定判決では、犯人が1人だった場合のMCT118型を16-26型とし、久間元死刑囚の型と一致すると評価していた。
しかし、第1次再審請求の審理で、本田克也教授らが鑑定方法や電気泳動写真を検証し、型判定の正確性や写真に写ったバンドの解釈について疑問を提起した。福岡地裁の2014年の決定も、当時の方法では16-26型と判定された資料が、より精密な判定で18-29型、18-30型、18-31型のいずれに当たるかを確定できない場合があることを検討している。
同決定は、現場資料について正確な型を再鑑定できないことも踏まえ、MCT118型が16-26型で一致したという事実だけを単純に有罪認定の根拠とすることはできない状況にあると整理した。一方で、弁護側が主張した型の不一致が確定したと判断したわけではなく、ほかの証拠も含めて検討したうえで第1次再審請求を棄却している。
ここで重要なのは、鑑定の証明力に疑問があることと、別人が犯人だと証明されたことは同じではないという点だ。
さらに、弁護側は、鑑定書に添付された電気泳動写真のネガフィルムについて、一部が切り取られたような痕跡や、犯人由来の可能性があるバンドの存在を指摘してきた。現場資料の一部が残されておらず、足利事件のように元の生体試料を使った再鑑定ができないことも、証拠の検証を難しくしている。
2026年9月24~25日の共同通信配信記事やテレビ朝日、FNNなどの報道によると、弁護側は、2012年に開示された鑑定資料のネガフィルムを本田克也・筑波大学名誉教授に再検証するよう依頼した。その結果、ネガの端に残る配列の位置や形状などから、久間元死刑囚と犯人のDNA型は一致しないとする鑑定結果が得られたとしている。
弁護側はこの結果を新証拠として提出する方針を示した。ただし、これは弁護側が依頼した専門家による再検証の結果であり、裁判所がその科学的妥当性や再審開始に必要な証拠価値を認定した段階ではない。今後の司法判断では、分析方法の妥当性、写真から読み取れる情報、別の解釈が成り立つかどうかが焦点となる。

【目撃証言の信頼性】有罪判決の根拠はどこまで揺らいでいるのか
飯塚事件では、DNA型鑑定と並んで目撃証言が重要な役割を果たしてきた。確定判決は、女児2人が最後に目撃されたとされる場所や時刻、遺留品発見現場付近で目撃された不審車両の特徴などを検討し、久間元死刑囚が所有していた車両との共通点を有罪認定の根拠の一つにした。
しかし、第2次再審請求では、確定判決の前提となった目撃証言の信用性が改めて争われた。
一つは、事件当日に通学路上で女児2人を目撃したとする女性の証言だ。再審請求審で女性は、女児を見たのは事件当日ではなかったことや、当時の供述調書の内容は警察官の誘導によるものだったとする趣旨の証言をした。
もう一つは、事件当日に女児2人を後部座席に乗せた不審車両を目撃したとする別の人物の証言だ。弁護側は、その車両が久間元死刑囚の車とは特徴が異なる白いライトバンで、運転していた人物も久間元死刑囚とは別人だったと主張した。
これらの証言が信用できると認められれば、連れ去り現場の特定や、不審車両と久間元死刑囚の車を結びつける推論に影響する可能性がある。一方、証言の内容が変化している場合には、どの時点の記憶が正確なのか、当時の供述がどのように作成されたのかを検証する必要がある。
福岡地裁は2024年6月5日、第2次再審請求を棄却した。新たな目撃証言について、従前の供述から内容が変遷していることなどを踏まえ、信用できないと判断したためだ。
さらに2026年2月16日、福岡高裁も即時抗告を棄却した。テレビ朝日の報道によると、高裁は、新証言の信用性を否定した福岡地裁の判断は不合理とはいえないと判断した。弁護側はこの決定を不服として、最高裁に特別抗告している。
つまり、目撃証言については、弁護側が信用性に疑問を呈している一方、裁判所は現段階でその主張を再審開始につながる新証拠とは認めていない。証言が変わったという事実だけで直ちに虚偽や捜査機関の誘導が確定するわけではなく、供述の経緯や客観的な裏付けを含めた検討が必要だ。
【2026年最新】第3次再審請求の動きと最高裁への特別抗告
飯塚事件の再審請求は、2009年に始まった第1次請求から現在まで長期間にわたっている。第1次請求では、DNA型鑑定の問題点や目撃証言の信用性が争われたが、福岡地裁、福岡高裁、最高裁はいずれも再審を認めなかった。
遺族は2021年7月に第2次再審請求を申し立てた。新たな目撃証言などを提出したものの、2024年6月に福岡地裁が請求を棄却し、2026年2月には福岡高裁も即時抗告を棄却した。弁護側は同年、最高裁に特別抗告している。
そして2026年9月、DNA型鑑定のネガフィルムを改めて検証した結果を新証拠とし、第3次再審請求を行う方針が報じられた。毎日新聞や共同通信の配信記事によると、弁護側は、本田克也名誉教授による再検証を通じて、犯人と久間元死刑囚のDNA型が一致しないと判断したという。
2026年10月24日時点では、第3次再審請求を行う方針が報じられている段階であり、申立て日や受理を確認できる続報は確認できない。したがって、第3次請求によって再審が開始されたわけではない。また、第2次請求をめぐる最高裁への特別抗告も、再審を認める決定が出たという状況ではない。
第3次再審請求が実際に申し立てられた場合、重要になるのは新たな鑑定結果が再審開始の要件を満たすかどうかだ。再審は、確定判決への不満を述べるだけで認められるものではない。刑事訴訟法上、確定判決に合理的な疑いを生じさせ、無罪などを言い渡すべき明らかな証拠に当たるかが問われる。
また、第2次請求に対する特別抗告と、第3次請求は別の手続きだ。前者では福岡高裁の棄却決定に対する法的な判断が求められ、後者では新証拠を加えた再審開始の可否が改めて争点になる。
死刑がすでに執行された事件であるため、再審が開始されても、本人の身柄を取り戻すことはできない。それでも、確定判決の正当性を改めて検証し、事件の事実関係を司法上明らかにする意味は残されている。

【足利事件との比較】DNA型鑑定の再検証で何が違うのか
飯塚事件のDNA型鑑定を考える際、比較対象として挙げられるのが足利事件だ。足利事件では、1990年に栃木県足利市で起きた女児殺害事件で、MCT118型DNA鑑定が有罪判決を支える証拠の一つとなった。しかし、再審段階でDNA型の再鑑定が実施され、菅家利和さんのDNA型と被害者の衣類に付着した体液のDNA型が一致しないことが明らかになり、2010年に再審無罪となった。
両事件に共通するのは、MCT118型という当時のDNA型鑑定法が重要な証拠として採用され、その型判定の信頼性が後に争われたことだ。DNA型鑑定は科学的な手法であるからといって、どの時代の検査結果も無条件に正しいわけではない。測定方法、試料の状態、混合資料の解釈、再現性などを含めて検証する必要がある。
ただし、足利事件と飯塚事件には大きな違いがある。足利事件では再鑑定に使える試料が残されていたのに対し、飯塚事件では、犯人由来とされた血液の元資料が残されておらず、同じような形での再鑑定ができないとされている。
飯塚事件の第1次再審請求をめぐる福岡地裁の2014年決定も、足利事件の再審判決などを参照しながら、MCT118型の判定方法や正確な型を確定できない問題を検討した。しかし、足利事件で鑑定の誤りが明らかになったからといって、飯塚事件でも同じ結論が自動的に導かれるわけではない。
2026年の本田名誉教授による再検証は、残されたネガフィルムなどの資料を分析し、当時の鑑定結果を再評価しようとする試みだ。今後、裁判所が判断するうえでは、写真のバンドをどのように解釈するのか、分析結果が再現可能か、反対の解釈を排除できるか、そして有罪判決を支えたほかの証拠にどのような影響があるかが重要になる。
DNA鑑定の問題点を考える際は、「鑑定に疑問があるから無罪」と短絡するのも、「警察の鑑定だから正しい」と決めつけるのも適切ではない。検証可能な資料と科学的な手法に基づき、証拠全体を再評価することが求められる。
【飯塚事件真犯人】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:飯塚事件の真犯人は誰ですか?
A1:2026年10月24日時点で、久間三千年元死刑囚以外の人物が真犯人として司法上特定された事実はない。久間元死刑囚の有罪判決は確定しており、死刑も執行されている。遺族側は無実を主張し、再審を求めているが、冤罪が確定したわけではない。
Q2:2026年の第3次再審請求は認められたのですか?
A2:2026年9月の報道では、弁護側がDNA型鑑定の再検証結果を新証拠として第3次再審請求を行う方針を示したとされている。10月24日時点で、申立てや再審開始が確定したと確認できる情報はない。第2次請求については、福岡高裁の棄却決定を不服として最高裁への特別抗告が行われている。
Q3:飯塚事件のDNA型鑑定は間違いだったと確定していますか?
A3:鑑定方法や型判定の信用性には、再審請求の審理で問題が提起されている。2026年には、本田克也名誉教授がネガフィルムなどを再検証し、犯人と久間元死刑囚のDNA型は一致しないとする鑑定結果が報じられた。ただし、その結果が裁判所に新証拠として認められ、確定判決が覆ったわけではない。
まとめ:【プロの結論】飯塚事件の真相を判断するために必要なこと
飯塚事件の真犯人をめぐる疑問は、2026年も解消されていない。久間三千年元死刑囚の有罪判決は現在も維持されている一方、DNA型鑑定の信頼性や目撃証言の評価をめぐっては、遺族と弁護側が再審を求める動きが続いている。
2026年2月の福岡高裁による第2次再審請求の棄却と、同年9月に報じられた第3次再審請求の方針は、区別して理解する必要がある。前者は再審を認めない判断であり、後者はDNA型鑑定の再検証結果を新証拠として提出しようとする動きだ。
今後の判断で注目すべき点は、第一に、本田名誉教授による新たな鑑定結果が科学的にどこまで裏付けられるか。第二に、目撃証言や車両、繊維片などの状況証拠を再評価した場合、有罪認定を維持できるか。第三に、最高裁への特別抗告と第3次再審請求が、それぞれどのような判断に至るかである。
事件の真相を見極めるには、確定判決があるという事実と、その判決の根拠に疑問が提起されているという事実の両方を直視することが欠かせない。新証拠の主張をそのまま確定事実と受け取るのではなく、裁判所の判断、科学的な検証、証拠全体の整合性を確認すること。それが、飯塚事件の現在地と今後の展開を理解するための最も重要な判断基準となる。 (出典: 飯塚 事件 真犯人(Yahoo!ニュース))